【韓国のお薬情報】韓国の国民健康保険 / 非給與と全額本人負担 薬品費はこのように決まる!

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Lina Mom
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前回に引き続きお薬の価格のお話です。まだ前回の記事をご覧になっていない方はこちらもどうぞ!

非給與(비급여)と全額本人負担(전액본인부담)の違い

前回の記事で、韓国で国民健康保険に加入している患者さんが実際に負担する薬剤費についてご説明しました。

ここでは、本人負担金(본인부담금)に加えて患者さんが負担することになっている非給與(비급여)と全額本人負担(전액본인부담)の違いについてご紹介します。

非給與(비급여)

さっそく処方箋を見てみましょう。

引用:변비약 레졸로 후기 https://weaker.tistory.com/42

上の写真の赤枠内に「비」と書かれてありますね。これが非給與(비급여)つまり保険適用されないお薬を意味します。

この記載があると保険適用されないので薬剤費が高くなります。

上のお薬は便秘のお薬(레졸로)になりますが、他にもバイアグラ(勃起不全治療薬:비아그라)、ジェニカル(肥満治療薬:제니칼)、ノレボ(避妊薬:노레보)などがあります。

なので、このような疾患で処方箋を発行された場合は保険適用されず、お薬も高くなる可能性があるので注意が必要です。

その上の「급」は保険適用される給與(급여)になります。一目で分かりやすいですね。

また、もともとお薬事自体は保険適用される給與(급여)であっても、特定の用途に関して適用されないケース(骨粗しょう症、マラリア感染予防の目的、禁煙誘導など)も存在します。

非給與(비급여)疾患の診療・治療の場合、診察料も非給與(비급여)、薬局での調剤料も非給與(비급여)となります。

全額本人負担(전액본인부담)

全額本人負担(100/100)薬剤というのは、保健福祉部長官が別途定めた薬の品目について、

許可された事項の範囲内もしくは定められた保険適用基準以外で投与される場合に、薬品費を患者本人が100%負担するというものです。

具体的には高脂血症(고지혈증)薬、骨粗しょう症(골다공증)薬、鉄分剤などがあります。

薬品費は自己負担ですが、薬局の調剤料に関しては保険が適用されます。(100/100の場合は病院での診察料も保険適用)

引用:데일리팜

上の処方箋写真の右下にある赤枠内に、チェックすべき特記事項が記入されているのですが、全額本人負担の場合もこちらに記入されます。

これは薬局が国に調剤料を請求する際にも重要なポイントとなります。

記事でも紹介してきた通り、保険適用、保険一部適用などさまざまな形態があるので薬局もそれに沿って国に請求する必要があります。

事例の紹介

ここで一つ、ある薬剤費のレシートを見てみましょう!

引用:영남일보

転移性の肺癌(非小細胞肺癌/non small cell lung cancer)により死の宣告を受けた患者さんが、保険適用されない治療薬(라핀나,매큐셀)2種を使用した際に発行されたレシートです。

ご覧の通り、本人負担金(1)は500ウォン、保険者負担額(2)は10,730ウォンです。

赤枠内の項目が、非給與(비급여)並びに全額本人負担(전액본인부담)となっており、総額10,012,230ウォン、だいたい日本円で100万円にも及ぶ金額となっています(1ヶ月分の薬剤費)。

この患者さんは、こららの薬でなくては治療ができないという状況でした。

2019年2月頃にニュースに取り上げられたのですが、同じ肺癌治療薬でも保険適用されるもの(給與/급여)と適用されないもの(非給與/비급여)があるということで、この患者さんの親族が国に不服申し立て(국민청원)をしました。

結果的には、ちょうどこの記事が出た1年後の2020年2月頃にこの2種の治療薬の併用に関して保険適用が認められることになりました。(参考:데일리메디)

Lina Mom
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これで薬局で発行されるレシートの見方については十分理解して頂けたかと思います!

薬品費(약값)自体はどうやって決まるの?

薬品の価格は国民健康保険公団(국민간강보험공단)で決定されます。

正確に言うと、健康保険が保障される給與額(상한급액/上限金額)を考慮し、国民健康保険公団製薬会社の間の協商(ネゴシエーション)により決められています。

新薬の場合は、既存の薬と比較したときにより優れた効能を現すのか、コスト面ではどうなのか、保険財政に大きな打撃を与えないか等を評価する段階が必要となります。

この価値を評価するのが、健康保険審査評価院(건강보험심사평가원/通称심평원)です。

新薬が保険として適用(보험 등재)されるようになるには、この健康審査評価院と前回も出てきた国民健康保険公団そして、保健福祉部という一連の流れを経るようになります。

そしてこの過程には大きく2つの方式があります。

  • 선별등재방식(選別登載方式/positive list system):2006年より導入(韓国)
  • 급여제외목록(給除外目録/negative list system):2006年以前の方式

2006年以前は保険給與(適用)に該当しない品目リストというものが存在していました。

このリストに載ってさえいなければ、健康保険で保障される保険適用薬品としてすべて選定されていました。

しかしそれにより、保険適用リストに載る薬品の数がどんどん増加し管理の効率性低下が問題になったため結局、薬品の価格を策定する他の方法が必要となったのです。

そこで、それぞれの薬品についてコストパフォーマンスや有効性などを評価して優秀な薬品だけをリストに載せられるように、すべての薬品に制限(基準)を設け、基準を超えた薬品だけを保険で保障できるように変わりました。

それがこの選別登載制度です。アメリカを始めとする大多数のOECD加盟国が導入している方式になります!

しかしながら、この選別登載制度もメリットだけではなく、患者さんが新薬を利用しにくくなったり、製薬会社の新薬開発意欲を削ぐというようなデメリットもありました。

そのため韓国ではこれらのデメリットを補完する他の政策を施行しています。

最後に

2回に渡りお薬の値段についてご説明しました。ご理解いただけたでしょうか?何となくでもわかって頂けると幸いです。

在韓の方もこれから行かれることがあるという方も、知っておいて損はないと思いますので、気になった時にまた思い出してこの記事を読み返して頂ければと思います!

長くなりましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。

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